創造のあそび場

ボーダレスなストーリーをお届けします

不思議な遊園地で、いじめっ子が体験したのは💀

タイトル『不思議な遊園地💀もう、しません!!編』

 

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このお話は、いじめっ子を、こらしめる物語です。

もしも、自分がいじめられたら、どんな気持ちになるかを体験してもらいます。

お母さんも、我が子が、学校で、お友達にこんなひどい事をしていたとわかったら。

 

私は、いじめる子供の心にも、なにか “もやもや” や “不満” が、

あるのだと思います。

その心のとげを抜いてあげたい。

 

自分がやられて嫌な事、辛いと思う事は、たとえ、誰であろうとも、してはいけない。

 

『君も、あなたも大切な宝物だよ』と伝えたい。

 

ちょっと、かわいそうですが、いじめっ子には、これくらいの体験をしてもらいましょう。

そして、お母さん。

一緒に寄り添ってあげてください。

 

 

《ここから本文です》

今日は、小学校の6年生の卒業親子遠足です。子ども達が大好きな遊園地を、クラスの仲間と、また、お母さんと一緒に回ります。『フシギ体験館』。ここだけは、親子一緒の入場がきまりです。さてさて、どんな、『フシギ体験』ができるのでしょうか。

 

たくや君とお母さんのようこさんが、入るようです。一緒にのぞいてみましょう。

 

フシギ体験館の中は、真っ暗です。

たくや君とようこさんは、不安そうに入ってきました。

優しいアナウンスの声で、

「ようこそ、フシギ体験館にいらっしゃいました。今からここで体験することは、今、あなたが心の中で一番気になっていて、解決したい事が体験できます。どうぞ、お気持ちを楽にして、イスにおかけください。体験時間は、二十分ですが、もっと長く感じたり、もっと短く感じたりするかもしれません。そうですね、そのイスに座ると気持ちよくって、眠くなりますね。どうぞ、ゆっくりお休みください。危険な事は、一切ありません。全ての体験は、あなた自身の心の中でおこっている事です。では、のちほどまた、お会いしましょう。すてきな体験をお楽しみください」

 

たくや君とようこさんは、ぐっすりと眠ってしまいました。どんな、体験をするのでしょう。

 

「お客さん。終点ですよ」

たくや君とようこさんがバスの中で眠っていまいます。

お客さんは、他に誰もいません。

ゆっくりと起きた、たくや君、ようこさんが。

「運転手さん。ここは、どこですか?」

「ここで、おわり。やり直しって事ですよ」

「やり直しって?何をやり直すのかしら」

あたり一面は、静かで、どこにでもあるような、山の中の村という田園風景が広がっています。

運転手さんが、

「さあ、早く降りてくださいな」

訳が分からず降りて、歩きだす、ようこさんとたくや君。

 

しばらく、歩いていると、先方から、農夫がやってきます。

「あの、すいません。この辺に食べ物を売っているお店は、ありませんか」

立ち止まった農夫は、ようこさんと、たくや君をジロッとにらみ、あからさまに、顔をそむけて無視して、歩いて行ってしまいます。

「何よ!感じわるい!」

また、歩き出す、ようこさんとたくや君。

 

ある、民家の庭先に出ていた、婦人を見つけ、

「すみませんが、近くに、食べ物を売っているお店は、ありませんか?」

婦人が、ようこさんとたくや君を、ジロリと見て、家の方に向かって、大声で

「ちょっと、塩を持ってきてちょうだい!」

ご主人が、塩を持って、出て来て、ご主人も、ようこさんとたくや君をジロリと見ます。

塩の器を持った婦人が、ようこさんとたくや君めがけて、思いっきり、塩をかけます。

「何、するんですか!」

婦人、さらに塩をかけながら。

「ここから、出ていきな!」

ご主人も、怖い顔をして、ようこさんとたくや君をにらみつけています。

「なんて失礼な人達なんでしょう!たくや行きましょう」

怒って、歩いて行くようこさんと、怯えながら、ついて行くたくや君。

少し遠くに、小さなお店を見つけます。

「たくや。あそこにお店があるわ」

「ママ、やっと、何か、食べられるね!」

 

小さなお店には、数人の小学生が、店の主人の婦人と楽しそうに語らっています。

ようこさんとたくや君が、店に入っていくと、皆が一斉に二人をジロリと見ます。

「たくや。好きな物、全部買ってあげるわよ」

小学生達が、ようこさんとたくや君を見て、小さな声で、ヒソヒソと話しています。

店の主人の婦人が、ようこさんとたくや君に

「あんたらには、何一つ売らないよ。帰っておくれ!」

「売らないって!どうしてですか?」

「お母さんね。息子に、今まで学校で何をしてきたか、ゆっくりと聞くといいね!」

たくや君、うつむいたまま黙っています。

「なんて、ひどい人達なんでしょう。たくや、行きましょう」

ようこさんが、たくや君を引っ張って出て行きます。

 

しばらく歩くと、休憩できそうな小屋があります。

「たくや。あそこで、少し、休みしましょう」

畳が敷かれた小さな小屋には、誰もいません。

入口で靴を脱いで、中に入り、座りこみ。

「たくや。さっきのおばさんが、言っていたけど、学校で何があったの」

たくや君うつむいて、黙り込んでいます。

「黙ってないで、話しなさいよ」

「…お母さん。いつも、僕が、話そうとしても、聞いてくれないじゃないか」

「だって、お母さんは、お仕事していて、忙しいのよ。たくやの塾や習い事に沢山お金が、かかるんだから。」

「ぼく。塾や、習いごとなんて、したくないよ!」

「何を言ってるの!塾に行ってお勉強するのも、お習い事も、全部あなたの将来のためでしょう」

「お母さんは、いつもそう言っているけど、ぼくの気持ち、何も聞いてくれないじゃないか」

「あなたは、まだ、子供なんだから、お母さんや、お父さんの言う事を、黙って聞いていればいいのよ。さぁ、行きましょう」

ようこさん、あたりを見回し。

「あら~、靴が無いわ。どこにいっちゃったのかしら。さっき、ここに脱いだわよね」

二人で、靴を探しますが、靴はなくなっています。

 

ここは、この村の小さな駐在所。

おまわりさんが、一人、ひまそうにぼんやりとしています。

靴がなくなり、はだしで歩き、疲れきった、ようこさんとたくや君が入ってきて、その場にどっかりと座り込みます。

「おまわりさん。ここの人達は、なんてひどい人達ばかりなんでしょう。道を聞いても無視され、塩をまかれて、店では、物を売ってもらえないし。そして、靴までかくされて」

「それは、大変でしたね」

「本当に、なんてひどい所なんでしょう!」

おまわりさんが、優しくたくや君に

「ぼく。人に無視され、塩をかけられ、お腹が空いているのに、食べられなかったり、靴をかくされたら、どんな気持ちかな」

たくや君は、黙ってうつむいたままです。

「どんな気持ちかな?」

「…いやな気持ち…」

「そうだよね。とっても、いやだよね。自分が、されていやな事、お友達にしちゃいけないよね」

「ちょっと、おまわりさん。たくやが、何をしたっていうんですか」

「たくや君。お母さんに言えるかな」

たくや君、うつむいたまま黙っています。

「お母さん。今日、ここでおきた事は、たくや君が学校でお友達にしてきた事なんですよ。

まず、仲間で、ある同級生を無視する。そして、何もしていないのに、砂をかけたり、暴力をふるう。給食にいたずらをして、その同級生の子は、何回か食事ができなかった事もありました。靴をかくされて、裸足で家まで帰った事もありました」

「そんなひどい事、うちのたくやが、したって言うんですか」

「そうです。全部たくや君がした事です」

「たくや!そんなひどいことしたの」

たくや君、黙ってうつむいたままです。

「お母さん。あなたも、全く知らなかったわけじゃないでしょう。学校の先生から、何回か注意があったはずですよ」

「たしかに、たくやが、同級生をいじめていると先生から、言われましたが。子供のやる事だし、そんなおおげさな事だと思わなかったので」

「お母さん。いじめは、立派な暴力ですよ。

人に無視される事だって、どんなに辛い事か。

いじめられた子供やその親は、どんなに傷つくでしょうか。それを苦にして自殺する子供だっている。そうなったらこれは、殺人ですよ。だから、いじめは、暴力なんです」

「たくや。本当の事、言いなさい」

「…そうです」

「もう、やらないよね」

「…もう、しません」

 

ようこさんとたくや君は、もとの、フシギ体験館の中のイスに座っています。

最初に流れたアナウンスの声が

「さあこれで、フシギ体験は、終わりです」

ようこさんとたくや君、ゆっくり目をさまし、あたりを見回します。

「フシギ体験、いかかでしたか?楽しい体験でしたか?このフシギ体験が、お二人にとって、とても、いい体験である事でしょう。お気をつけてお帰りください」

 

メソメソ泣くたくや君。

「お母さん。もう~、おうちに帰りたいよ」

「何、言ってるの。今から、いじめていたお友達に謝りに行くわよ!」

「もう、しないから…」

ようこさんに、ひっぱられて出て行くたくや君。

                              おわり

 

いかがでしたか。

これでたくや君もお母さんも、心を変えるでしょうね。

そう、あって欲しいと思います。

 

いじめをする子供の心に寄り添えるのは、あなたしかいません。

忙しい毎日ですが今日も、スマイルな一日でありますように💛

 

                           スマイル・エンジェル