創造のあそび場

ボーダレスなストーリーをお届けします

『不思議な遊園地』で体験したのは👀少年の優しい心に、涙ポロリ

タイトル

「不思議な遊園地・いじめヒーロー編」       

 

この物語は、不思議な遊園地が舞台です。

“フシギ体験館”では、その人の潜在意識が、一緒に入った人と共有して、バーチャル体験ができます。

 

主人公のひろし君は、学校でいじめにあっていますが、辛くても、必死に耐えて、学校に通っていました。

そんな、とても頑張った、ひろし君にフシギ体験館が用意した贈り物とは。

 

もしも、いじめられている、君や、あなたがいたら、きっと同じような体験ができるよ。

でも、もう、我慢しなくてもいいよ。

いじめられている君は、何も、悪くないんだから。

頑張った君が、最高にカッコイイ、ヒーローさ!!

というメッセージを込めて書きました。

今、辛い思いをしている人がいたら、飛んでいって、抱きしめて、そう伝えたい。

皆さんも、そうですよね。

 

【ここから本編です】

 

今日は、小学校の6年生の卒業親子遠足です。

子ども達が大好きな遊園地を、クラスの仲間と、また、お母さんと一緒に回ります。

『フシギ体験館』。ここだけは、親子一緒の入場がきまりです。

さてさて、どんな、『フシギ体験』ができるのでしょうか。

 

ひろし君とお母さんのみゆきさんが、入るようです。

一緒にのぞいてみましょう。

 

フシギ体験館の中は、真っ暗です。

ひろし君とみゆきさんは、ドキドキしながら、入ってきました。

優しいアナウスの声で、

「ようこそ、フシギ体験館にいらっしゃいました。今からここで体験することは、今、あなたが心の中で一番気になっていて、解決したい事が体験できます。どうぞ、お気持ちを楽にして、イスにおかけください。体験時間は、二十分ですが、もっと長く感じたり、もっと短く感じたりするかもしれません。そうですね、そのイスに座ると気持ちよくって、眠くなりますね。どうぞ、ゆっくりお休みください。危険な事は、一切ありません。全ての体験は、あなた自身の心の中でおこっている事です。では、のちほどまた、お会いしましょう。すてきな体験をお楽しみください」

 

ひろし君とみゆきさんは、ぐっすりとねむってしまいました。

どんな、体験をするのでしょう。

 

パシャ、という音と、フラッシュがたかれ、まぶしくて、目を開ける、ひろし君とみゆきさん。

沢山の人々が、二人を取り囲むように、群がっています。

そして、ひろし君とみゆきさんに拍手をしながら、

「おめでとう!」

「偉いわね!」

「よく、がんばったね!」

涙ぐみながら声をかける人や、ひろし君とみゆきさんに握手を求める人、サインを求める人もいます。

ひろし君とみゆきさん、何がおこったか、わからず、とまどいます。

「ねぇ、お母さん。なんで、ぼくたち、こんなに騒がれているの」

「お母さんも、わからないわ」

男の人が、ひろし君に握手を求め

「私は、この街の町長です。ひろし君。君は、ヒーローだよ。えらい!よく頑張った!

今日は、私に代わって、ひろし君、きみが一日町長だよ」

「え~。ぼくが?ヒーロー?」

「あの~町長さん。うちの子が、いったい何をしたのでしょうか」

「お母さん。あなたも、偉い!辛かったでしょう!イヤ、本当によく耐えた!偉い。

さぁ、車に乗ってください。町中のみなさんが、お二人を祝福していますよ」

ひろし君とみゆきさん、町長が、立派なオープンカーに乗り込むと、ゆっくりと車が動きだします。

 

町中の人々が、ひろし君たちの車に手をふったり、声をかけたりして、祝福しています。

最初は、恥ずかしかった、ひろし君とみゆきさんも、だんだんなれてきて、笑顔で、町の人に手をふって応えます。

町中をパレードした車が、大きくて立派な建物の前で止まりました。

真っ赤なじゅうたんが、引かれた上をゆっくりと降りて歩くひろし君とみゆきさん。そして、町長さんとつづきます。

ひろし君とみゆきさん、町長さんが、町中の人々の祝福の中、建物に入って行きます。

 

大きくて広い部屋の中も、沢山の町の人が、ひろし君、みゆきさんを拍手で迎えます。

中央の舞台に案内された、ひろし君とみゆきさんを町長が、迎えます。

会場内が、静かになり、皆が、三人に注目します。

町長が、表彰状を読み上げます。

「ひろしくん。あなたは、長い小学校生活で、同級生のいじめにあいました。無視されたり、物をかくされたり、時には、暴力まで受けました」

静かな会場内から、小さな声で

「まぁ~。かわいそうに……」

「まったく、ひどいわね!」

と呟いたり、すすり泣く声も聞こえます。

「そんな、いじめに、時には、負けそうになり、しばらく学校を休みましたね」

ひろし君はずっと、うつむいたままです。

「しかし、その後、お母さんや家族の人達の愛情と励ましに支えられて、今日まで、頑張って、(町長も、涙をこらえて)本当に、頑張って……」

会場のあちこちで、すすり泣く声がします。

みゆきさんも、ハンカチで涙をふきます。

「本当に頑張って、学校に行きました」

場内から一斉に拍手が起きます。

「(大声で)偉い!」

「(大声で)本当に、頑張ったね!」

と声がかかります。

町長が、続けて

「この〝いじめ〝という暴力に負けないで、勝った!そのひろし君の偉さを、私達は、心から、尊敬します。ひろし君。君は、誰よりも強くて、優しくて、カッコイイ、正義のヒーローです!」

場内、割れんばかりの大拍手がおこります。

うつむいていたひろし君も、ゆっくりと顔をあげ、場内を見回します。

会場中の人が、ひろし君を祝福しています。

笑顔で応える、ひろし君。

その横で大泣きするみゆきさん。

「お母さん。お母さんも、辛かったでしょう。本当に一緒によく頑張りましたね。

お母さんの愛情と励ましが、何よりの、支えだし、ひろし君の一番の味方です。みゆきさん。あなたは、世界で一番偉大なお母さんです!」

更に、場内、割れんばかりの大拍手。

泣きながらも、笑顔をつくり応えるみゆきさん。

「よって、ひろし君、みゆきさんを、我が町の名誉町民として表彰します!」

会場内、更に、大拍手に沸きます。

表彰状と花束が、ひろし君とみゆきさんに手渡されます。

ひろし君に、マイクが向けられます。

ひろし君しばらく考えて

「ありがとうございます。…友達に、いじめられて。毎日、すっごく辛くて、…死んでしまいたいと思いました。…お母さんは、いつも、僕を励ましてくれました。毎日、一緒に学校に行ってくれ、一緒に授業も受けてくれました。…もしも、僕が、死んだら、大好きなお母さんが、かわいそうだと思いました」

場内から、一斉にすすり泣きの声がする。

「僕には、夢があります。大きくなったら、大好きな電車や飛行機に乗って、世界中をまわりたい。たくさんの人と、友達になりたいと思います…今日は、すっごく嬉しいです」

場内から、盛大な拍手。

マイクが、今度は、みゆきさんに向けられ。

「今日は、本当にありがとうございます。ひろしは、本当に、よく頑張ったし、偉いと思います。可愛いい我が子が、『死にたい』と思うほど、苦しめられ、追い詰められる。この〝いじめ〟はまさしく暴力であり、殺人と同じくらいの罪だと思います。人を〝いじめ〟た人も心に大きな傷を受けます。〝いじめ〟は誰も幸せにしません。

どんな人にも、この〝いじめ〟の心があると思います。その弱い心に負けないで、勇気の強い心を取り出して、これからも、生きていきたいと思います」

場内に盛大な拍手がいつまでも鳴り響きます。

 

ひろし君とみゆきさんは、もとの、フシギ体験館の中のイスに座っています。

最初に流れたアナウンスの声が

「さあ、これで、フシギ体験は、終わりです」

ひろし君とみゆきさん、ゆっくり目をさまし、あたりを見回します。

「フシギ体験、いかがでしたか?楽しい体験でしたか?このフシギ体験が、お二人にとって、とても、いい体験である事でしょう。お気をつけてお帰りください」

笑顔でみつめあうひろし君とみゆきさん。

「ひろし。つぎ、観覧車に乗ろうか」

「うん。いいよ」

仲良く、出て行くひろしくんとみゆきさん。

                              おわり

 

 

 

改めて、自分で書いた作品ですが、また、号泣してしまいました(>_<)

もしも、魔法が使えたたら、こんな苦しみをパッと取り除いてあげたい。

あなたができる事は、何か、考えてくれたら嬉しいです。